自分も支度をして自艇で浮かぶ。今日は横瀬島まで行ってみよう。ソロで宮川湾を渡るのは初めてだ。舟を持ってくる時、それなりに漕いでるのに、ここらで自由に漕ぐのはまだ踏ん切りがつかないでいた。
網代崎を回ると海は静かでトロンとしている。夏も本番で浜は賑わっている。諸磯、三崎の堤防と漕ぎ進むと、はやくも戻ってきた先輩と行き違いながら挨拶した。このへんの水はひんやりとして気持ちいい。
ここまで頭の中がだいぶガヤガヤしながら漕いでたけど、馬の背あたりでそれがすっと落ち着く。安房崎から先も、ちょっと岸には寄ったけど普通に真っ直ぐ横瀬島を目指して漕いでじきに着く。
小休止で折り返し、帰りは岸ベタで漕いでいく。毘沙門の岩場を周り、盗人刈りを目指してたら何か声がした。振り返るとスキンカヤックの先輩が見えた。浜で水遊びしてたら僕が見えたので追いかけて来てくれたそうだ。浮かびながらしばらく話し、先輩はまた浜に戻っていった。お連れでもいればと思って遠慮したけど、一緒に上がってもっと話を聞かせてもらえば良かったなと、漕ぎ始めてすぐに残念に思ったけど、また機会をつくればいいと思い直す。
道中盗人刈りによって、浮かんだまま上を見上げる。ゆっくり出入りするうねりにつれて景色が前後する。僕の夏休み、とふと口をついて出た。その先の宮川マリーナの浜にも寄って、浅い水底に真上から指す陽の光と蝉の声をごちゃまぜにして吸い込む。
さて、大先輩のツアー組はどこにいるからな。三崎の堤防は越えてこないだろうと思いながら安房崎にとりつき、洞窟の浜を眺めるとタープをはったカヤックグループが見えた。人数的に違うようだ。
馬の背の先の岩場にちょっと入って出てくると、そこで大先輩たちに出くわした。こんなところまで漕いでくるとは思わなかったから意外に思ったけど、うまく合流できて嬉しい。赤羽根海岸に一緒にあがり、波で下半身を冷やしながら昼飯を食ってのんびりした。熱中症になる気配もない。
あとはのんびりコーヒー休憩の浜まで漕ぎ戻り、さらにのんびり水につかって入江に戻り舟を上げた。いつもと同じように漕ぎに来たつもりだったけど、しっかりと夏休みの日になった。