関東は一月ばかり雨のある日が続いてさっぱりしなかったけど、ようやく晴れた海と黒い富士山を見られた。まだ雪は被っていない。
今日は遠くまで行かない。良くて荒崎と諸磯の間だろうということで、支度ものんびり。その間にいぶりがっこ先輩もやって来た。三人で舟を浮かべて、ヨットを抜けていく。
湾入口の堤防まできて対岸を見ると、横堀海岸の崖が崩れて、白い海の家が壊されてしまった。以前に観潮荘の露天風呂があったあたりがごっそり落ちている。前はそのとなりの胴網海岸の崖が崩れて、コンクリでやっと固めたところだった。
そうして堤防をくるりと回って、俺の浜までやってきた。仲間内の通称だけど、よく午後にコーヒーを一杯、休憩に上がる所。崖の上には茶色い建物の別荘があって、その下あたりが崩れて小さな浜を埋めてしまった。露わになった岩肌にあいた二つの穴が何故できたのか気になる。
砕けた貝殻の浜には茶色の土がかぶさって、干潟のような雰囲気。流され倒れた木の枝が波を受けている。嵐が来るたびに少しずつこれも海に持っていかれて、栄養になるんだろう。
僕と後輩が崖崩れの様子を見ている間、先輩はひたすら波遊びに興じてた。ブレない。また台風が近くを北上していて、それなりにうねりが入っている。舟に戻って先輩に声をかけ、三人で北の方にポイントを巡る。佃嵐崎ではサーファーが何人もいるくらいで当然カヤックでは危なすぎる。パスしてもう少し先のポイントに陣取った。
隠れ根で大きく盛り上がって一気にスピードに乗れる。崩れればブレースの練習になる。先輩と二人でヘルメットを被って無心にパドルを回した。ひとしきり遊んだら気が済んだので、近くの浜に先に上がって昼寝をしている後輩に合流し、昼ごはん。そのうちにお固い後輩が南から漕いでくるのが見える。立ち上がって様子を見ていたら、こちらの浜に向かってきて合流した。
昼が済んだら帰る。その途中でまた寄り道をする。佃嵐崎では潮が上がって波が落ち、サーファーが消えた。カヤックにはちょうどいい波になって、先輩と何本か乗ったら先に進む。
結局、また俺の浜前のポイントで引っかかって、ここで日が下がってくるまで四人で波遊び。結構乗りやすい感じになってきて楽しいけれど、浜の近くまでいくと巻いてひっくり返される。浅いからその手前で降りた方が吉。
そうして、最初三時にはあがろうとしていたのを四時まで延長して遊び、雲一つ無い空の下、入江に滑り込んで舟を上げた。久しぶりに潮を存分に味わった。気温は落ち着いて、水はまだぬるく、空気も乾いている。最高の季節にばんばんカヤック漕ぎたい。